大和郡山市 『いのうえ農苑』井上英治さん・和恵さん
大和郡山市で農業を営む「いのうえ農苑」の井上夫妻。栽培する主な作物は、トマト・キュウリ・そして今が旬の苺。苺は古都華・ゆめのか・奈乃華の3 品種を栽培しています。
就農した頃はトラクターもなく、鍬とすきのみでハウス内を耕運。知人から借りた40 年もののハウスの造りは丈夫でしたが間口は狭く、トラクターでは入れませんでした。その為、不耕起栽培法によって、土の中の微生物の力を借りて土を耕す農法を取り入れました。一つの作物のシーズンが終われば、作物の残渣を細かく切って土の上に置き、堆肥、土とミルフィーユ状に重ねます。こうすることで微生物が活発に活動し土が耕されます。畑が肥料でおなかいっぱいにならないように化成肥料は少なめにし、土壌の菌とミミズを育てる農法。勉強熱心な英治さんによる不耕起栽培の土づくりが、いのうえ農苑の土台となりました。
昨年、農苑に3 羽のガチョウがやってきました。知人から譲り受けた有精卵からふ卵器を使って孵った3羽です。体長は70~90センチ近くもある完全草食のガチョウは、今ではいのうえ農苑の除草作業の助っ鳥です。おかげで年に5回の草刈りが2回ほどに減ったそうです。今後もガチョウパワーに期待が高まりそうです。
最近の悩みは、カラスやイタチ・アライグマなどの鳥獣被害。ネットで対策しても、アライグマはハウスに登ってビニールに穴を開けて、中に侵入して作物を食べてしまう。あと夏の高温と虫による被害も悩みの種です。そんな大変な中でも、ハウス栽培の合間には珍しい野菜を作り、経験値を増やし、消費者に届けたいと、いのうえ農苑の夢は広がります。
「人間の都合でなく植物や自然の都合で動くことが大切なので、なかなか遊びに行くのも難しい。でも種を蒔いて、育てて、自分たちですべての作業行程を考えて、それを自分の体力と相談して確実に進めていく。農業1本で生きていくことが私達の生きがい」と、夫妻は語ってくれました。

